AstroTortillaによる極軸合わせ

こんにちは。
昨夜は新月だったのですが、不安定な天候には意地悪されますね。晴れ間を求めて長野まで行ってきたのですが、おおむね晴れはしましたが慣れない地のロケハンに失敗し、うまくいきませんでした。
でも、器材テストにはなりました。
まず、新ファームウェアにアップデートしたiOptron赤道儀CEM60。ファームウェアは細かい改良なのでよいとして、私にとって大きかったのがiOptronのASCOMドライバー4.0です。
これまでのドライバー3.xは、なぜか私のPCでは動作しなかったんです。T氏さんの方では動いているらしいので私だけの現象だと思うのですが、実際iOptronに直接問い合わせてもこれまでそんな報告はないとのことで、仕方なく古い2.4を使っていました。
しかしこの2.4だと動作が不安定で、プラネタリウムソフトとの連携も出来なかったので、しかたなく導入はハンドコントローラーを使っていました。
それが今回の4.0では普通に動作するようになりました。ステラナビゲータとの連携も、POTH Hubによる複数クライアントの連携も問題なし。
リリースノートを見ると、サードパーティ製ソフトウェアとの互換性をアップ、とありますので、その辺が好影響したのかも知れません。今後Wifi・Ethernet接続もサポートするそうなので、楽しみですね。
これで、これまで試したかった色々なことが試せるようになりました。
そのひとつが、今日のお題のAstroTortillaによる極軸合わせです。
極軸合わせはこれまで色々とやり方を試してきましたが、どれも私にとってこれという決定版が得られずにいました。
– PHD2によるドリフト法 反復して追い込んで行きますが精度が上がるとトレンドを見るのに時間がかかってしまいます
Iterative Star Alignment 自動導入赤道儀のSync機能を使って、徐々にオフセットを追い込んで行く方法です。一般的にどの自動導入赤道儀でもうまくいくのか分かりません。CEM60でやってみましたが、ターゲット星の選び方が悪かったのか発振して収束しませんでした…
– iOptronのハンドコントローラー付属のIterative Polar Alignment 基本的には上記のIterative AlignmentをiOptronが拡張、実装したものです。使われているターゲット星がマイナーなものが多く同定に難儀します
AlignMaster 同じくIterative Alignmentを拡張、実装したSharewareです。ターゲット星がメジャーなものが使えるのでいいようですが、ライセンス購入したのですが登録出来ませんでした…
極軸合わせについては、5年くらい前に書かれたSurvey of Polar Alignmentという記事がよくまとめられていると思いますが、これによると、極軸設定はオフセット値の計算と修正の2段階に分けることができ、それぞれ最適な手法を選択することで時間の効率化が図れる、オフセット値の計算はPoleAlignMaxを、修正は筆者提案のStar Offset Positioning法を使うことで、最短6分の極軸合わせが可能になると言います。
ただ、PoleAlignMaxは現在ダウンロード出来ないようですし、前提ソフトウェアとしてMaxIm DLやCCDSoftなどを必要とし、使っていない人には敷居が高いようです。
ところで、私は撮影ツールとしてAPTを使っているのですが、そのリリースノートをぼんやり読んでいると、Advanced GoTo by Alt/Az offset to use the AstroTortilla polar alignment routine.とあります。
AstroTortillaって何だろう? と思って調べてみると、これはPlate Solvingのツールであることが分かりました。
Plate Solvingというのは、撮影された画像から星像を抽出し、星図データベースとパターンマッチングして、画像中心の赤経/赤緯を計算することを言います。PlateってDry Plateから来てるんでしょうねきっと。小惑星などを乾板で撮影して位置同定していた頃からの用語でしょうか。
AstroTortillaはLinux上のPlate SolvingプロジェクトであるAstrometry.netのラッパーソフトです。Windows上でAstrometry.netを動かすために、Windows上のLinux環境であるCygwinを使います。
そして、このAstroTortillaには、Plate Solvingを利用して極軸のオフセット値を計算する機能がついています。
AstroTortillaについてはyahoo blogでもひろしさんのブログで紹介されています。
ひろしさんの言うようにAstroTortillaは、構図決めにも非常に有効です。
こちらの方でも活用していきたいと思っていますが、今回は極軸合わせについて、今回試してみたので顛末を書いてみたいと思います。
なにか絵がないと寂しいので、AstroTortillaの動作画面。

長くなったので続きまーす。

2 thoughts on “AstroTortillaによる極軸合わせ

  • 2015-03-22 at 8:24 PM
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    YKMさんを追いかけて行きましたが、お会いできなく残念でした。
    技術情報ありがとうございます。
    こういうの良く集めますよね。英文の情報を読み下すことが出来るとやはり集まる情報の量が違うんでしょうね~
    今更ながら、真面目に英語の勉強すればよかったと後悔(^^;;
    今からでも遅くない、やろうと思えば!なんて言わないでくださいよw

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  • 2015-03-23 at 1:14 AM
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    kola29さんこんばんは、昨夜ご一緒できればよかったですね。
    これ前からずっとやってみたかったのに出来なかったんです。Plate Solvingは極軸合わせよりも本当は構図決めにとても強力です。導入や構図決めに苦労する場合は、赤道儀の天球モデリングやたわみとは関係なく、プラネタリウムソフトで狙った構図ぴったりに導入してきますから、頼もしいです。昨夜はそれで遊んでいて、撮影を忘れてしまっていました
    長焦点でどれくらい計算に時間がかかるかは分からないですが、ご興味があればぜひ。

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