X4のダークノイズ – リニア現像について

買ってきたEOS Kiss X4のダークノイズを評価しようとして、過去の評価をネットで調べてみました。
CocologのA(1)さんの「A’s Balcony Blog」に、「Canon EOS Kiss X4のダーク画像(ダークノイズ)」という記事があります。
この記事で、DPP(キヤノンユーザには当たり前の略号ですが、Digital Photo Professional)の「リニア現像」を実施した、とあります。
「リニア」というのは恐らく、ガンマ補正をしない素の状態で取り込んで現像する、という意味だと思いますが、K-5IIsと比較する際に、現像エンジンを同じにしないと、フェアな比較になりません。しかし、当然ながらK-5IIsのPEFファイルはDPPは現像できません。
DPPと同じようなリニア処理をする現像エンジンはどれでしょうか?
現像エンジンをどれにするか? で迷ったので、手持ちの現像エンジンでリニア(的)現像と思われる動作モードを比較してみることにしました。
比較対象と現像オプションは以下の通り。
– CameraRaw
トーンカーブでポイントカーブをリニアに設定。あとはデフォルトのまま
– dcraw
コマンドオプション dcraw -4 -T(リニア16ビット、ガンマ補正なし、TIFF保存)
– ステライメージ7
ベイヤー画像としていったん読み込み、ガンマ調整・ホワイトバランス調整なし、画像の最小値を減算をオンでRGB変換
– DPP
ホワイトバランス 太陽光 ピクチャースタイル 忠実設定 「リニア」オン シャープ 0 輝度ノイズ緩和 0 色ノイズ緩和  0
オリジナル画像は、ISO1600、露出時間600秒(10分)、A(1)さんのブログにならって、2コマ撮影した2コマ目を採用しました。室温は21度。
いずれも、トーンカーブタブでポイントカーブをリニア選択し、あとはそのままでPhotoshopに読み込んだものを16bit TIFF保存。このオリジナル画像をLightroomに読み込んで横サイズ1024、サイズ制限500kBでJPG保存したものです。
1. CameraRaw

2. dcraw

3. ステライメージ7

4. DPP

CameraRawはトーンカーブがリニアというだけで、ガンマが入っている気がします。ガンマ補正しないオプションというのはあるんでしょうかね。
意外なのはdcrawで、コマンドライン上で16ビットリニア、スケーリングなしと指示したにもかかわらず、スケーリングされているような印象です。4つのエンジンの中では、もっともノイズレベルが大きく出てしまいました。他にも何かオプションがあるのかも知れませんが、分かりませんでした。
上記画像でみたところ、いわゆる輝度レベルでリニアっぽい処理をされているように見えるのは3.ステライメージ7と4.DPPです。
リニア現像と言っても実際にはdebayerの段階でいろいろな非線形処理が入っているので、厳密な意味でリニア変換というのはないと思います。ダークノイズ比較というのは、debayer前の段階で数値で評価するのが本筋で、画像で見るのはあくまでぱっと見評価以上のものではありませんが、輝度レベルでいうとDPPのリニアというのは、確かにある程度忠実にレベルを再現しているのかなという気がします。しかし前述のようにK-5IIsとの比較には使えません。
レベル調整してみるとさらに違いが分かってきます。ステライメージとDPPの結果について、レベル範囲を0-8192にしたのが下記です。
ステライメージ7

DPP

他の3つのエンジンでは赤っぽくdebayerされますが、ステライメージではニュートラルです。色温度変換をスルーできるのが功を奏していると思われます。その他、じっと眺めているとdebayer処理について色々と興味深いのですが(DPPの赤いのが縮小してもぽってりなのにステライメージはさらさらなのはなぜ? とか)、今回は見なかったことにします。
今回、K-5IIsとの比較は、ステライメージでやることにしましょう。

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