ボーグのスケアリング調整その1 ー CTU

新冷却CCDカメラQHY16200Aを導入して、これまで何度か撮影にも行って来ましたが、実のところ細かい調整は二の次でやってきました。

そのひとつがスケアリング調整です。

冷却CCD IC8300で撮影してきて、今回QHY16200Aを導入しましたが、短焦点ということもあり、スケアリング問題にはずっと悩まされています。 デジカメにおいてはほとんど調整の余地はありませんが、冷却CCDでは、ミラーボックスがない分、まだ調整装置を挿入する余裕が残されています。 そのため、よりラージフォーマットであるQHY16200Aの導入を機会に、スケアリング調整装置の導入を考えました。

ドイツで天文パーツを提供しているGerd Neumann Jr.CTU(Camera Tilting Unit)は、他の押し引きネジ型のコリメーション調整装置と異なり、外周部にあるテーパースクリューを挿入することで、カメラの傾きを調整するようになっています。テーパースクリューを挿入するとその部分の間隙が大きくなり、引き抜くと小さくなります。望遠鏡とカメラの接続部は狭いことが多いため、押し引きネジ型の調整メカニズムだとアクセスしにくいことが多く、最悪、調整のたびにカメラを脱着しなくてはならないかもしれません。また、押し引き型だと引きネジと押しネジを両方調整しなくてはならないため、いまどちらの方向に調整しているのか、どのくらいの量調整しているのかが分かりにく(そう)です。 CTUの場合は、引きネジに相当する部分を内蔵する強力なスプリングで引いているので、引きネジの操作が必要ありません。テーパースクリューの出し入れだけで、間隙を調整することが出来ます。メーカーによると、3kg程度のカメラであれば問題なく間隙を保持することが出来るといいます。それに、1本のネジだけで調整して、テーパーの出し入れで調整するので微調整が可能というメリットもあります。 http://www.gerdneumann.net/media/textbilder/ctu_neigeflansch_both_sizes_web.jpg

開口部の大きさで2種類あり、うちの場合はM48の小さいほうでよいです。 課題は、CTUをBorgマウントに接続することと、冷却CCDカメラの光路長の調整です。 CTUをBorgマウントに接続するには、BorgのカメラスクリューであるM49.8で接続出来ればいいのですが、CTUはM48です。ほんの2mmほど小さい。 接続径の調整のために、貴重な光路長を使いたくはないので、メーカーのGerdにメールで相談したところ、接続部のメスネジはカスタムで切ってくれるということなので、M50 P0.75メスネジで製作してもらうことにしました。 あとは冷却CCDの接続部ですが、光路長と接続径に合わせた接続リングを、ついでにGerdに製作してもらうことにしました。 QHY16200A用とIC8300用に2個のM50 P0.75改造CTUと、2種類の接続リングを注文したのですが、これが予想外に調達時間がかかってしまいました。 Gerdによると、いつも使っていたアノダイジング処理のための業者が潰れたとかで、満足の行く品質でリーズナブルな価格の業者を選定しているので時間がかかってしまっている、ということでした。 小ロットで受けてくれる業者さんがいないのは日本もドイツも同じなのでしょうね。 そんなこんなで、ベータカメラのQHY16200Aの到着よりも、CTUが早く着くよう手配したつもりだったのですが、結局、QHY16200Aが先に来てしまったのでした。 というわけで、到着したパーツは以下のようなものです。

下のリングは製作してもらったQHY16200A用のM48ー2インチ接続リング。左のCTUがQHY16200A用で、右のCTUはIC8300用です。CTUは、カスタムで切ってもらったM50メスネジのところが後加工らしく、アノダイジング処理が取れて剥き出しのアルミ地が出てしまっているのがやや気になりますが、オスネジで隠れてしまうのと、はみ出ている部分はマジックで塗っておくなりすればいいでしょう。ちなみにまだ塗ってません。。 組み立てた状態だとこのようになります。

赤い矢印で示したネジ穴が、ヘクスキーで挿入を調節するテーパースクリューの調整穴です。 IC8300とツイン状態で同架するとこんな感じ。

というわけで先週金曜日、スケアリング調整のために育樹祭記念公園に行って来ました。
続きます

6 thoughts on “ボーグのスケアリング調整その1 ー CTU

  • 2016-05-02 at 8:41 AM
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    そうか~、カメラ変えればスケアリングも必要ですよね~
    これだったんですね。待ってたのって。
    続きを楽しみにしてます!

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  • 2016-05-02 at 12:30 PM
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    たじさんこんにちは。
    ボーグはみなさん苦労しているように、機械精度の点では決してほめられたものではないので、歩留まりを上げるにはいろいろやらなきゃいけないこともありますね。
    結果的に投資額が…という話はこの際おいておくとして

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  • 2016-05-02 at 10:52 PM
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    USBのクランプ、良いですね!しかも一体の片持ちとは。。なかなかのアイディアですよね。私の55FLですが、アドバイス頂いた回転装置の内側のネジを増し締めした所、FWHMが改善方向ではありますが、まだ偏りがあるようです。。

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  • 2016-05-03 at 12:52 AM
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    こんなスケアリング調整用のフランジ?があるのですか。
    かなりしっかりしたもののように見えますね。
    お値段も割と高めなのかな?(笑)
    星を撮影しながらの調整になるのでしょうから、結構大変そうですね。

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  • 2016-05-03 at 11:58 AM
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    やまぎりさん、こんにちは。
    やはりそうですよね。もともと鏡筒に、斜めになってる何かがあるような気がします。怪しいのは回転装置とフィルターボックス、特にフィルターボックスを怪しんでます。。

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  • 2016-05-03 at 12:01 PM
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    ウラカンさん、こんにちは。
    このCTUはいいです。おすすめ。お値段は。。普通の調整装置よりは高めですね。。
    毎回調整すると考えるとちょっとうんざりですが、機械精度が限られるBorgですので、仕方ないですね。
    タカハシなら。。と言う考えもふっとよぎりますが。。

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