PixInsightによる彗星画像処理: ノンリニア化

最後、ノンリニア化して仕上げていきますが、彗星画像のノンリニア処理には、MaskedStretchが向いているようです。
MaskedStretchは繰り返し演算で強調処理をしていき、繰り返しの途中で適応的に、輝度の高い部分のマスクを強くしていくことで、ハイライト部分のトビをおさえ、選択的に輝度の圧縮をするノンリニア処理ツールです。
デフォルトでは100回の繰り返し処理を行いますが、人間の手で100個の輝度マスクを作成しながら強調処理するのは不可能に近く、自動処理ならではのツールだと思います。

このMaskedStretch、一般の星雲などの処理に使うと、コントラストが死んでしまうという欠点があるため、HistgramTransformationなどの他のノンリニア処理と併用して使うことが多いようです。
しかし、今回のカタリナ彗星の画像には、このMaskedStretchの結果が好ましいように感じました。
これが処理結果です。

やはりコントラストがおとなしめの画像になっていますが、今回の画像はかなりきつめの画像処理をしていることで、あまり強いコントラスト処理を行うと馬脚が現れてしまうという問題があります。。
現に、60分以上露光した冷却CCDの画像であるにも関わらず、かなりノイズの多い画像になっています。
しかし、MaskedStretchの効果で、彗星の核がうまいこと潰れずにあらわれているのは良いと思います。

核がこれくらいのミッドトーンであれば、色を乗せたときもへんな飽和をせずにすみます。
というわけで、今回はMaskedStretchをメインに、他の結果は多少のブレンドして使う程度にしました。
以上、PixInsightによる彗星の画像処理を紹介しましたが、私自身PixInsightは使い初めて1年しかない初心者なので、全部の機能をちゃんと使いこなしているわけではなく、変な紹介をしているところもあると思います。その場合はご容赦下さい。
また、彗星の画像処理は元画像の性質が千差万別だと思いますので、今回の処理がそのまま適用出来ないことがあると思います。その場合は各ステージで試行錯誤となると思いますが、PixInsightの機能はその試行錯誤をしやすくしています。
例えばDeepSkyStackerでも恒星と彗星を止めた画像処理が出来るようですが、中でどんなことをしているか不明で、うまくいかなかったときに対処できなさそうです。私も、以前ラブジョイ彗星の処理のときに試して見ましたが、うまくいかず挫折した覚えがあります。。
そういうときにも、各処理が独立していて、ステップを踏んで処理するPixInsightでは、うまくいかなかったときのリカバリー処理が出来るので、なんとか最後までたどり着けるんじゃないか?という気がします。
そもそも、恒星と彗星を両方止めた画像処理なんて邪道、という意見もありますが、このような処理も可能、というのと、PixInsightの利用記事がまだ日本語では少なそうなので、多少なりとも貢献できればと思い書いてみました。
参考になれば幸いです。

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