冷却CCDの結露撲滅

最近2回の遠征で、ともに冷却CCD IC8300のCCDチャンバーの結露が激しくて悩まされています。 前回の育樹祭記念広場での撮影でも、こんな画像が。

フラット撮影時に思いきり結露した状態です。
仕方ないので、冷却温度を上げて撮影しますが、ホットノイズが増えて、何のための冷却CCDかということになります。
まあ、電池には優しいのですが

現状、CCDチャンバー内部の空気は、IC8300のドライプラグで乾燥剤により乾燥させていますので心配要りません。乾燥剤も毎回入れ替えしています。
しかし、チャンバーの前面ガラスの結露は何も対策していません。
QHYCCDの冷却CCDカメラ、IC8300には、CCDチャンバー前面ガラスの結露を防ぐためのヒーターが装備されていますが、どうも能力不足なのか、上のようにお構いなしに結露が発生してしまいます。
日本の高温多湿環境恐るべし、ですが、このまま負けっぱなしでは面白くないので、対策に乗り出すことにしました。
結露はなぜ起こるかというと、空気中の水蒸気が凝結を始める温度を超えて温度が下がると起こり、この温度を露点温度といいます。
結露を防ぐには、結露させたくない物体の温度を露点温度まで下げないか、露点温度そのものを下げるかのどちらかで対策することになります。
巷でCCDの結露対策は、空気を抜いてしまう方法、空気を乾燥させる方法、ガラス表面をヒーターで暖める方法、などで対策されているようです。
空気を抜いてしまう方法はこちらのサイトで紹介されていますが、なかなか激しい工作が必要なのと、そもそも機械シャッターがチャンバーガラス前面にあるIC8300では実現出来ないです。
空気を乾燥させるには、反射望遠鏡でおなじみの乾燥空気送付装置を使えば良さそうです。特に、今回の場合はコレクターレンズとCCDチャンバーの間の狭い空間の空気を乾燥させればいいので、大きな容量は必要ありません。
問題は、乾燥空気をどこから供給するかです。コレクターレンズとCCDチャンバーの間には、オフアキシスガイダー、カラーホイールと、なかなか立て込んでおり、空気供給のためのニップルを立てるスペースがなさそうです。

わずかにTマウントの延長筒が5mmほどありますが、ここは径が狭いため、ニップルを立てると像に影響しないか心配です。
そこで、まずはCCDとコレクターレンズを現場で組み立てるのをやめ、乾燥環境で組み立てた状態で現場入りし、分解せずにそのまま望遠鏡に装着して撮影することにします。
これをするにはこれまで使っていた冷却CCD用の運搬ケースでは小さくて、コレクター装着状態で収納出来ないため、運搬ケースを新調しました。

Vangard Supreme 37Fというケースです。
おおっ、なんかプロフェッショナルっぽい!(笑)
これまでのおまけケースと比べて、信頼感が全然違います(笑)。
ぐっとモチベーションが上がったところで(笑)、ウレタンフォームをさくさく切り取って、CCD+コレクターのアセンブリの形にくりぬき、収納します。

白く見えるのは乾燥剤のモバイルドライMD-2というもので、内蔵するシリカゲルを100Vコンセントに突っ込むことで再生することが出来るというものです。

これで移送中にも収納ケース内の湿度を下げることが出来ます。
チャンバー内の湿度は、オフアキシスガイダーのプリズムポートが開口していますので、そこから抜けることを期待していますが、さてうまくいくかどうか。。。
で、上の写真で意味ありげに写っているタッパーウェアは、だいたい想像出来ると思いますが(笑)また次回

8 thoughts on “冷却CCDの結露撲滅

  • 2015-08-20 at 6:05 AM
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    なにやら楽しそうなことになってますね。MD2ってのがとても気になりました。そんな便利なものがあるんですね。

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  • 2015-08-20 at 9:17 AM
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    たじさんおはようです。MD-2便利です。レンズの保管庫用に何個も使ってます。

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  • 2015-08-20 at 1:56 PM
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    結構凄い結露が出るんですね~
    冷却カメラってその辺を考慮しながら乾燥剤やヒーターが仕込まれているんだと思ってましたが、外国製。湿潤な日本の気候に合わせて作っていた訳ではない!ってことなんですね。
    結露問題も解決に近づき、いよいよ冷却CCD本格始動で作品の量産体制に入りましたね。楽しみです(^^)

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  • 2015-08-20 at 4:20 PM
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    kola29さん、こんにちは。
    はい、あと2回ほどシリーズ化する予定のこの話題ですが(ぇ、QHYCCDの対応についても書きますのでお楽しみに~
    量産体制…。ボトルネックはお天気でございます

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  • 2015-08-20 at 9:55 PM
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    当家の冷却カメラは、冷却能力が控えめなので結露しにくいですが、
    やはりたまに結露することがあります。
    多湿な日本での使用だと尚更でしょう。
    もっとも、これだけ冷やしたら、外国でもダメな気がします(笑)
    それと、こんな携帯乾燥機があるのですね。
    フライパンや電子レンジで加熱再生すると、
    どうしても毛細管が破壊してしまって再生率が8割程度に低下していくのですが、
    これだとどうでしょうか?マイルドに過熱してバッチリ再生できるのでしょうか?

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  • 2015-08-21 at 7:43 AM
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    ウラカンさん、おはようございます。
    FLIとかQSIとかは対策もしっかりしているみたいですが、安価な中国製ですから文句は言えませんね。でもQHYCCDは、わりとサポートレスポンスいいと思います。
    MD2ですが、内臓ヒーターはそんなに出力高くないんじゃないかと思いますが、まだ何度も再生してないので分からないです。再生が面倒、という人(自分)にはいいと思います

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  • 2015-08-22 at 12:59 PM
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    青玉シリカゲル(ナニワゲル)の再生を電子レンジで行っていますが、何度も小分けにしなければならないし結構時間がかかるんですよ。MD2は値段もお手頃で良さそうですね。

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  • 2015-08-22 at 1:51 PM
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    flatさん、そうなんですよ。。これが面倒で。
    で、いまヤフオクで落札した乾燥装置のブツがあるんです。今度紹介いたします。

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